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2020.8.30 週末おむすびチャンネル vol.16

読書のよろず話<積ん読> 週末おむすびチャンネル vol.16

もうすぐやってくる読書の秋。ところで、買ったまま1ページも開いていない本、途中まで読んで放置している本……いわゆる「積ん読」状態になっている本はありませんか?

今回の「週末おむすびチャンネル」では、初めてゲストをお呼びして、そんな「積ん読(つんどく)」をテーマに話します。各自とっておきの「積ん読本」を持ち寄って、積ん読という読書の楽しみ方について探っていきます。

 

【トークゲスト】山崎悠貴さん
北軽井沢に暮らす、本を愛する女性。おむすびブックスのあるルオムの森で働いている。北軽井沢で10年間、本屋を営んでいた経験あり。積ん読傾向→買った本は間をおかず、とりあえず読んでみるタイプ。読書における「長嶋読み」を体得(詳しくは本文へ)。

【おむすびメンバー】
(本は買ったことに満足し、表紙すらめくらない積ん読が多数。図書館もよく利用するため、読書に追われがち)
鮭(本代はケチらないをモットーに、積ん読タワー日々増殖中。ある程度の積んどかないと落ち着かない。いつか読む)

 

梅:今日は、それぞれの積ん読本を紹介しあいながら、語っていきましょう。どんな本が出てくるか楽しみです。

 

悠貴(以下、ゆ):手元に何冊持ってきてる?

 

梅:私は、4タイトル、上下巻が一つあって、全部で5冊かな。

 

鮭:私は本棚からごそっと出して10冊くらい。

 

ゆ:私も迷って結局12冊ある。

 

鮭:ちょっと話の方向によって出すの変えようかなって(笑)。

 

ゆ:わかるわかる。

 

鮭:まず積ん読本の定義なんだけど、「最後まで読みきらなくて、でも本棚に置いている、いつか読みたいと思ってる本」という感じでいいですか?

 

梅:うん。

 

ゆ:そうだね。

 

梅:私は積ん読だらけで、本棚の半分以上は最後まで読めてない本。読み終わった本って古本屋さんに売ったりするから、読みきって今も手元にある本は、自分が本当におもしろいと思った貴重な本ですね。

 

鮭:そうなんだ。でも確かに私も小説とかはどんどん売ったりしてるかも。

 

ゆ:読み終わって内容が全部わかっている小説って、疲れてる時に読み返すとなんか安心しません?

 

梅:悠貴さんは結構読み返すんですか?

 

ゆ:そう。みんなそうなのかと思ってたらそうじゃないんだ?

 

梅:私、全然読み返さない!だから 読んだ端から忘れていってますよ。

 

ゆ:私も全然、忘れたりするんだけど、あのシーンだけもう一回読みたい、と思って読み返してる。それって映画も同じで。同じ映画のあのシーンを見たい!ってしつこく見たりするな。

 

梅:それってどういうシーンなんだろ。見返す作品に共通点ってありますか?

 

ゆ:絶対に共感を得られない自信があるんだけど、『アラビアのロレンス』で、ラクダに乗ってる一人をもう一人がラクダで追う時に、広い砂漠で二匹のラクダの歩調がピタって合う瞬間があるんですよ。そこが見たい! とか。

 

鮭:へえ! 何気ないところ。

 

ゆ:それで共感を得られたことがないけど。でも、そういうことは小説でもあるな。あのセリフを読み返したいとか。

 

鮭:そしたら、本の内容を覚えてるから、人と本の話ができていいですね。私、すぐ忘れちゃって、なかなか本の話ができなくて。

 

ゆ:でも、かといって内容を全部覚えてるかというと全然覚えてなくて、役に立たない知識(笑)。なんだろう、余力があると本を買ってどんどん新しい作品を読んでいくんだけど、頭が疲れたな、みたいな時期に入ると、字面を目で追ってるだけで、内容が全く入ってこない。

 

鮭:ああ、それはわかります!

 

ゆ:そういうときに、同じ小説を読み返す。

 

梅:ちなみに今、手元に持ってきてる積ん読本で、小説ってありますか?

 

鮭:ある! 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』の上巻。人に薦められて最初だけ読んだんだけど、ちょっと今じゃないなと思って、積ん読にまわった…。上下巻あるんだけどまだ下巻も買ってない。

ゆ:司馬遼太郎って結構読む?

 

鮭:全然読んだことなくて、『項羽と劉邦』が初挑戦だったんです。

 

ゆ:ほんと。結構おもしろいんですよ。『翔ぶが如く』とか有名どころだっけな、いくつかを読んで。でもそれ、おもしろそうじゃないですか。

 

鮭:そう、話の説明を聞いたら、策略とかいろんな要素があっておもしろそうと思って買ったんです。積ん読になってるけど、でもいつか読む!

 

ゆ:いつか読むやつね。

 

梅:あるよね、そういう本。

 

鮭:司馬遼太郎の沼にハマったら、膨大じゃないですか。なんか。その時を待ってる。自然と。

 

梅:うちには山崎豊子の沼があるよ。『二つの祖国』『不毛地帯』とか、本棚にまだ読んでない作品が並んでる。昔、産休に入ったら読もうと思ってたけど結局読まなくて、絶対いつかこの沼に入るんだけど…次のタイミングいつなんだろう。

 

鮭:中高年ぐらいになったらくるかな。

 

ゆ:50代とかに入ったら。

 

鮭:その時を気長に待とう。

 

梅:私、小説だと20年ものの積ん読があって。この辻邦生の『樹の声 海の声』、大学に入学した頃に装丁に惹かれて400円くらいで買ったのかな、買ったことに満足して一度も中を開いてなくて……ちょっと今開いてみる。あら、なんか、いろいろ挟まってるな。

鮭:小説?

 

梅:そう。いや、多分そうだと思う。

 

ゆ:そこからか。

 

梅:持ってるのが上巻で、下巻が今も手に入るのかわかんない。上巻を読んだとしても、続きが読めないかもしれないんだよね。

 

鮭:今アマゾンで見たけど、上中下があるみたい!

 

梅:やだ、中もあるの?

 

ゆ:3冊なんだ。

 

梅:大変。ほんとに一生読まないかもしれない。でも装丁が可愛いの。外箱にトビウオの絵が書いてあって。やっぱり置いておきたいな。

 

鮭:いい本そう。

 

梅:ね。私の積ん読歴が一番長いのはこの本かな。

 

鮭:私の一番歴が長い本はこれ。『量子の社会哲学』。10年前くらいに、量子力学とかがおもしろいと思ったときがあって。買うときから、これ読まないだろうけど手元に置いときたいなって思ってた。

梅:あるある!読まないだろうけど買っちゃう本、あるね。

 

ゆ:あるね。私はこれだな。『失われてゆく、我々の内なる細菌』

鮭:ああ!ちょっと方向性が似てますよね。

 

ゆ:似てる似てる。私も買うときに思った。これ読みきれないし、開くかなあとか思いながら買ったんだけど、こういうの読んでみたいなと思って買った。

 

鮭:そういうのがわかる自分になりたいっていう。

 

梅:わかる! 私はこれだ。吉本隆明の『言語にとって美とはなにか』。1ページも読んでないけど、本棚にあることが大事、みたいな。

鮭:そうそう。タイトルをたまに見るだけで。

 

梅:うん。タイトル見るだけでもいいんだよね。私も視界に入るたびに、言語にとって美とは何なんだろうって、ずっと思ってる。

 

ゆ:あと、ザ・積ん読は『ミクロの森』ですね。読み切ってなくて、しおりが挟まっているところをみると3分の1くらいは読んだらしい。内容はおもしろいんですよ。おもしろいから、いつも目につくところにはあって。見つけてはちょっと読み進め、またしまい、また目について、またちょっと読んで、またしまいってやってる。

鮭:たまに読んでまたしまう本、私もある。『「いき」の構造』。「いき(粋)」とは何か、が書いてあるらしいんだけど、難しくて一気には読めなくて。でもこういう、感情が図になってるページがあって。

ゆ:東洋の五行思想みたい。

 

鮭:そう!この図がおもしろくて買ったんです。この図だけ見たくて、めくることもある。

 

ゆ:あと、私は『尾崎放哉 全句集』。これもすごくよくて! よくお風呂で読んでるんですけど、最初の方に出てきたあの句をもう一回読みたい、何ページあたりだったっけな、っていうのを探しながら読むから、全然進まないっていう。

鮭:でも、ちゃんと血肉となってる読み方な気がする。

 

ゆ:どうなんだろう。あの句がもう一度読みたいって思うくらいなのに、そらんじることができなくて、毎回新鮮に読んでる。

 

梅:本って読み返しやすいからいいですよね。映画とかに比べて。パラパラってすぐに開いて読めるし、いくら読んでも電気代かかんないし。

 

ゆ:そういう点で本は私の娯楽にあってるかもしれないな。

 

梅:もしDVDをたくさん持ってて、「積んDVD」してたら、そのうち規格が変わったりして再生できなくなるかもしれないし。ビデオがそうですよね。そういう意味では、本って50年積んでても、いつでも読めるよね。

 

ゆ:うん、本は気軽でいいね。今、こうやって話しながらもちらっとめくったりできる。

 

梅:私、これは、ちょっと自慢したくて持ってきた本なんですけど、『向田邦子 映画の手帖』。向田邦子が20代の時に映画雑誌の編集者をしていた時代があって、編集者として雑誌に書いた文章がまとめられてるんですよ。これは、ちゃんとした気持ちで読みたくて、まだ手をつけてない。これはのちの楽しみにとってる積ん読。

鮭:楽しみ積ん読もいいね。

 

梅:ちょっと開くこともあるけど、やっぱり今じゃないかなって思って。

 

ゆ:読むことに自制心があるんだね。今じゃない、みたいなので我慢できちゃう。

 

梅:そう言われてみればそうですね。なんでだろ。この1冊は集中して読みたいって気持ちが強いのかな。他にも読んでない本があるから、まずそっちを片付けよう、みたいな感じで長らく読めずにいるんだな。

 

ゆ:私は「長嶋読み」なんですよ。手当たり次第、読みたいものを全部読み始めちゃう。良い子はマネしちゃいけない。疲れてるときに読み慣れた本を読み返すことはあるんだけど、余裕がある時には長嶋読みで。

 

梅:長嶋って、長嶋茂雄の長嶋?

 

ゆ:そう。私が勝手に言ってるだけなんだけど、例えば、スイカの甘いところだけひたすら食べるのを「長嶋食い」って言うらしくて、造語で「長嶋読み」って言ってる。

 

鮭:おもしろい!

 

ゆ:読み終わってから次のを読むんじゃなくて、同時並行で、読みたいところだけ。

 

鮭: 何冊くらい並行してる?

 

ゆ:10冊くらい並行して読んじゃいますよ。

 

鮭:へえ!

 

ゆ:並行して読むのは、お風呂で読みたい本、トイレで読みたい本、料理で煮込みしながら読みたい本がそれぞれ違うからっていうのもあって。その中で特にハマって続きが知りたくて、翌日のことも考えずに夜中の3時くらいまで読んじゃうこともあるけど。

 

鮭:お風呂で読みたい本、ありますね。

 

ゆ:湯けむりの状態で読む。

 

鮭:私は漫画かなあ。

 

梅:そういえば漫画って積ん読にならなくないですか? 漫画は買ったらすぐ読んじゃう気がする。

 

ゆ:ああ、確かに。

 

梅:あれ、なんでなんだろ。

 

ゆ:我慢が全くきかないよね。「今はやることがあるからそれが片付いてから読む」みたいな我慢ができない。

 

鮭:10冊はそのうち淘汰されていくんですか?

 

ゆ:淘汰されますね。その10冊、下克上だから。

 

鮭・梅:下克上!!

 

ゆ:おもしろいのを上に重ねていくと、下の方の本は読まれなくなる、今読まなくてもいいなあっていうのが脱落していく。

 

鮭:なるほど。

 

梅:私、いま長嶋読みの話を聞いていて、なんだか心が軽くなったなあ。確かに読書ってそれでいいですよね。私、積ん読が増えるたびに、「あの本だってまだ読めてないのに!私ってダメだ」とか思ってて。でも、途中まででも、読んでみればいいのか。

 

ゆ:そうそう。

 

梅:まだ残ってる手元の積ん読本を見せ合いましょうか。

 

鮭:最新の見せてもいいですか? これ。『ペスト』。一応、買っとこうと思って買っちゃった。読みたいなって思ってるけど、他にも読む本があって、ここまでたどり着いてなくて。

梅:まだ1行も読んでない?

 

鮭:1行も読んでない。いつか…。

 

ゆ:ザ・積ん読だね。作者もこの時代にこんなに売れるとは思ってなかっただろうね。

 

鮭:一時期売り切れになってたみたいで。本屋さんで見かけたときについ買っちゃいました。

 

ゆ:私の最新の積ん読はこれかな。『戦死やあわれ』『銀河の片隅で科学夜話』。近くにあっていつでも引きずり出せるようにしてる。

鮭:『銀河の片隅で科学夜話』は、私もちょっと読んで積ん読タワーに入ってます!

 

ゆ:そうそう、早く読みたいけど忙しくなっちゃって。今読むと字面だけ目で追っちゃうから、もうちょっとあとでと思って。

 

梅:私は金子光晴の『絶望の精神史』。これ、すごいんですよ。開高健が解説書いてて、カバーは小田実が推薦文を。(奥付を開いて)昭和40年発行か…あ、昔の本だから金子光晴の住所が書いてある。

ゆ:それは読んでみたい。

 

梅:ね、おもしろそうなんですけど、なんか、手に取るきっかけがなくて。積めば積むほど、いつこれを開くのかなってハードルがどんどん高くなっていっている気がする。

 

鮭:結構長いこと持ってる?

 

梅:うん、これも10年以上かなあ。

 

ゆ:なんかさ、積ん読で長年積んであるんだけど、特定の精神状況下じゃないと開けない本ってないですか。

 

梅:そうかも。それって、買った時のテンションに近い時ってことなのかな。

 

ゆ:うん。音楽でもそれがあるんだけど、ちょっと病んでる時に必ず聴く音楽ってない?ヒーリングとかじゃなくて、私はさらにぶっ壊れそうなのを聴くことがあって、本も同じで追い討ちをかけるように。そういう積ん読があるなあ。普段読みたいリストに入ってこないんだけど、おかしい状況下になってくると、あれを読み返したいって取りに行く。

 

梅:へえ、おもしろい!

 

ゆ:それにしても、私は読み返しがすごく多いんだな。

 

梅:積ん読を読み返すのかあ。私は、1回読んだ本をもう一回読み返すくらいなら、新しい本を読みたい、ちょっとでも先に進みたいって今まではずっと思ってたんですけど、

 

ゆ:そうだよね、普通そうだと思う。

 

梅:このあいだ、ちょっと本を読み返す機会があって、パラパラっと読んでみたら、一回読んでるからか頭に入ってくる感じが違うというか、すでに文字が馴染んでるっていうか。

 

ゆ:そう、文字が馴染んでる感じがするの。

 

梅:読み返しも結構いいなと、つい最近思ったところでした。

 

ゆ:疲れてるときはとても有効です。

 

梅:うん、なんかすごくわかるなあ。

 

ゆ:優しい、本が。寄り添ってくれるかのように優しい。

 

梅:二番風呂に入ったら、お湯がちょっとまろやかになってるみたいな。

 

ゆ:うん、そういう感じに近い。

 

鮭:学生の頃、吉本ばななの本をいつもをお守りがわりに持ってた時期がありますね。なんかあったらここを読み返そうとか、そういう感じかな。

 

ゆ:結構近いかも。もっとそれがフランクにある。何もなくても読み返してる。執着が強いんだねきっと。

 

鮭:なるほど。私はいまだにあれも読みたい、これも読みたいってなっちゃって、それでついつい新しい方にばっか目がいっちゃいがち。

 

ゆ:エネルギーがある証拠だよ! 若いときはそうだったな。私は本屋でもあったから、新しい本を読まなきゃいけないのもあって、その頃はどんどん読んだな、確かに。

 

鮭:心境の変化なんですかね、読み方が変わったのは。

 

ゆ:いや、昔から自堕落な読書ではあったんだけど、人に紹介するために急いで読んだり、出版社の特徴とか作家の特徴とか、今のテイストを掴みたくて次々に読んでた。今は本屋をやめてその必要がなくなったから、さらに、自堕落に読んでるよね。

 

鮭:読み方が変わるっておもしろい。

 

ゆ:人によって違うんですね。

 

梅:鮭は手元にはあと何があるの?

 

鮭:私、これもすぐ読まないだろうけど手元に置いておかなくちゃと思って買ったのが、『上毛かるたのこころ』

ゆ:なんで上毛かるた?

 

鮭:私、群馬出身で、子どもの頃上毛かるた大会っていうのが毎年あって。今でも札を全部言えるくらい染みついてるんだ。この本を見つけたときは迷うことなく買ったけど、読んでない。

 

ゆ:酒を飲んでから上毛かるたやるとすごいよ!やってみてほしい。

 

鮭:へえ!やりたい、やりたい。

 

ゆ:私はほかに今積んでいるのは、『今日もいち日ぶじ日記』。高山なおみ好きなんです。母に借りたのかな。あとは『季節のかたみ』と『ナンセンスカタログ』も、長嶋読みしてる。

 

鮭:悠貴さんって1ページもめくらないのって、さっきの『失われてゆく、我々の内なる細菌』くらいですか?

 

ゆ:そう、それくらいだね。

 

鮭:ちゃんとめくってるんですね。

 

ゆ:めくって、下克上の優先順位をつけてるかな、多分。

 

梅:私もせめてめくりたい。めくろう。1行だけでも目に入ったところを読んでみようって、今日はすごく思いました。

 

ゆ:めくって悪いことはないよ。そうそう、おむすびブックスで注文した『朝食の本』も写真がよくて癒される。レシピも載ってるんだけど、作ろうとは思わないよね。準備する食材をみて、脳内で試食して、うまい、で終わるっていう本。そういう積ん読もいっぱいある。

 

鮭:美味しい気持ちが味わえてるからいいですよね。そういえば、ちょっと前にツイッターで、「積ん読は自分だけの本屋を作るようなものだ」っていうような文が流れてきて。本当にそうだなって思いました。

 

ゆ・梅:たしかに。

 

鮭:今日は積ん読の話がたくさんできて楽しかった!

 

梅:またやりましょう!

投稿者: おむすびブックス

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