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2020.6.5 週末おむすびチャンネル vol.5

『園芸家の一年』おすすめ編 週末おむすびチャンネル vol.5

今週はチェコの作家、カレル・チャペックのエッセイ『園芸家の一年』(平凡社)を取り上げます。おむすびブックスでこの本を仕入れた鮭が、おすすめポイントを語ります。

 

鮭(おすすめする人)

梅(これから読む人)

 

梅:(『園芸家の一年』をパラパラめくりながら)あ、挿絵が入ってるんだね。かわいい絵。

 

鮭:この絵はカレル・チャペックのお兄さんが描いてるんだ。

 

梅:へえ、兄弟で本を?

 

鮭:そうそう、チャペック兄弟っていって二人でチェコで活動してたの。弟のカレル・チャペックは文章で、新聞記者として記事を書いたり、戯曲や童話とかも書いてて、お兄さんは画家で弟の作品に挿絵や装丁を描いたりしてて。第一次世界大戦から第二次世界大戦頃のたいへんな時代に生きていて、新聞に風刺漫画とかも描いてたみたい。

 

梅:私、おむすびブックスでこの本を見たとき、園芸に興味はないし、作家のことも知らなかったけど、本から素敵な随筆だよってオーラが漂っていて読みたいなあと思ったんだよね。でもなかなか手を出せなくて、今回はいい機会だなあと思って。

 

鮭:うれしい! 私も今回梅におすすめするために久しぶりに読んだよ。

 

梅:最初はいつ読んだの?

 

鮭:5年くらい前だったかな。たまたま見つけて有名だったし読んでみるかって感じで。

 

梅:有名な本なんだね、知らなかった! 昔から知ってたの?

 

鮭:知ったのは大学のときだったと思う。授業とかかな。でもその時は結局読まなくて、社会人になって自然を欲してたときに読んだんだ。

 

梅:自然に興味がある人が、この本を読んでるのかな。

 

鮭:うーん、どうだろう。園芸エッセイの金字塔って言われてるし、園芸家にとってはバイブルなんだろうな。私は園芸ぜんぜん詳しくないけど、母親や祖母は花が好きで園芸が身近だったから視界に入ってきたっていうのもあるかも。

 

梅:私、小学校の時、園芸委員だったから、思い出すかなその時のこと。今まで忘れてたけど、幼い日の血が騒ぐかも。

 

鮭:そうだったんだ! 私、園芸家が一番うれしいのって花が咲いたときだと思ってたんだけど、この本はそういう、花が咲いた、わーい!ってところはぜんぜん書いてなくって。園芸は土作りだって言って、土のことばっかり書いてるんだ。

 

梅:そうなんだ!

 

鮭:うん、最後まで土(笑)。そこがおもしろくって、本人もツッコミを入れつつ書いてるんだけど。

 

梅:へえ。

 

鮭:もう園芸への愛と情熱がすごいの。園芸に興味がなくてもぜんぜん楽しめると思う!文章そのものがユーモアたっぷりでおもしろおかしくて。愛をぜんぶユーモアに昇華させてるって感じ。なにかのレビューで、コピーライティングを学ぶ本としても最適だ、みたいなことが書いてあったんだけど、本当にそうだと思うな。次はどんな表現がでてくるだろうってワクワクしながら読んじゃう。

 

梅:へえ。俄然興味が出てきた!

 

鮭:例えとかもすごいよくって。例えばホースで水を撒いているくだりで「ホースは手に負えない危険な動物」って言ってたりとか。

 

梅:その情景、眼に浮かぶね。

 

鮭:ね。お兄さんのイラストともすごくあってるし。でもこの頃って世界恐慌やナチスの足音が聞こえ始めて緊張感が高まってた時期なんだよね。そんななかでこんなふうに軽やかに人を楽しませる文章が書けるのってほんとすごい。

 

梅:暗い時代に書いてたんだね。

 

鮭:うん。『園芸家の一年』も新聞に毎月連載してたんだけど、暗い話は一切なくて。

 

梅:へえ、もとは新聞連載だったんだ。

 

鮭:そうそう。世界や社会もぜんぶ庭に落とし込んで書いてたんだろうな。「庭はいつになっても完成しない。その意味では、庭は人間の社会、および人間のいとなみのすべてに似ている」って言ってたりするし。

 

梅:哲学的ね!

 

鮭:ちなみに、カレル・チャペックが亡くなったのは園芸がきっかけで。すごい寒い日に庭の手入れをしていて、風邪を引いてこじらせて肺炎になっちゃったって。

 

梅:ええっ!そうなんだ。

 

鮭:それを知って読むと、胸に迫るものもあるよ……。内容は12か月の章に分かれてて、読んで好きな月とかあったら教えて欲しいな。

 

梅:鮭はどの話が好きなの?

 

鮭:「十二月」かなあ。園芸への果てしない情熱になんか感動しちゃう。新聞への発表も、一番始めが十二月でその後に「一月」から掲載していったんだって。

 

梅:(本の目次を見て)本は、「園芸家の一月」からはじまって、「園芸家の十二月」まで順を追って進んでいくんだね。それで間に「種」とか「園芸家のわざ」とかエッセイが挟まってる。ほかに好きな話はある?

 

鮭:バカンスに出かける「八月」も好き。オチがあってコントみたい。最初の「庭づくりの始めに」も園芸家の心得がユーモアたっぷりに書かれてて一気に引き込まれたよ。あと、サボテンの話があるんだけど、サボテンのことを神秘的って言ってるのが印象的で。触発されて私もサボテン育ててみたんだけど、枯れた。

 

梅:サボテン、枯れるよね意外と。翻訳ものって読みづらかったりするけど、文章の読みやすさはどんな感じ?

 

鮭:この本は全然そんなことなくて、そういえば翻訳本だったって感じ。ユーモアのセンスは外国っぽいけどスルスル読めたよ。翻訳ではぜんぜんつっかからなかった。

 

梅:図書館のデータベースで調べたら、この本って翻訳してる人が3人いるんだよね。それぞれ本のタイトルもちょっとずつ違ってて。飯島周訳の『園芸家の一年』、小松太郎訳の『園芸家12カ月』、栗栖茜訳の『園芸家の十二ヶ月』と。

 

鮭:おむすびで仕入れた平凡社ライブラリー版は、飯島周さんの訳で2015年に出てる本だった。

 

梅:そうか、図書館にあった飯島周訳の本は1997年に恒文社から出てたんだけど、きっとそれが平凡社ライブラリーに入ったんだね。読んだ印象も訳した人によって変わるのかな。まずは飯島さんの訳で読んでみるね!

 

次回の「週末おむすびチャンネル」は、この本を読んでみた梅と感想を語り合う<感想編>をお届けします!

投稿者: おむすびブックス

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